着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)

着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)

当院は日本産科婦人科学会の着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)ならびにPGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)実施承認施設です。

「受精卵の染色体の数や構造が正しいかどうか」は、受精卵の見た目では判別できず、異常があると子宮内に移植をしても着床しない可能性や、着床しても妊娠初期に流産の可能性が高くなります。
PGT-AやPGT-SRは、体外受精で得られた受精卵(胚盤胞)の胎盤になる細胞のごく一部を採取し解析を行うことで、移植あたりの妊娠率を高め、流産率を低くすることを目的とした検査です。
これまで特別臨床研究の枠組みで行われてきましたが、2022年9月より、日本産科婦人科学会の新たな見解に沿って実施されることになります。

対象となる方

  • 過去の体外受精―胚移植で2回以上臨床的妊娠(赤ちゃんの胎嚢確認まで)が成立していない方
  • 過去に2回以上の臨床的流産(赤ちゃんの胎嚢確認後)を経験した方
  • ご夫婦のいずれかに染色体構造異常がある方
  • 女性が35歳以上のご夫婦
  • 詳細は診察時に確認させていただき、対象外と判断される場合もあります。

検査の流れ

  1. 当院を受診されたことがある方、まだ受診されていない方いずれの場合でも、医師の診察を受け、適用の確認をさせていただきます。
  2. 日本産科婦人科学会で作成された、説明動画を視聴していただき、チェックシートで理解度を確認していただきます。
  3. ご夫婦で遺伝カウンセリングを受け、同意書を提出していただきます。
  4. 当院で採卵を行い、胚盤胞に成長した受精卵の細胞のごく一部を採取して検査を行います。
    (検査結果が出るまで3-4週間かかるため、採取後の受精卵は凍結保存します)
  5. 検査結果により、正常な受精卵を融解し胚移植を行います。

注意事項

  1. 保険適用外の治療のため、採卵から検査、胚移植まで一通りの治療はすべて自費となります。
    • 当院で採卵を行い凍結してある受精卵を融解・培養して検査を行うことも可能ですが、保険診療で採卵した受精卵は対象となりません。
  2. この検査によって完璧な診断が行えるわけではありません。
    検査の解析精度や、受精卵以外の流産要因なども十分ご理解いただいたうえで行っています。
  3. この技術が男女の産み分けにつながることを避けるために、性別を提示することはできません。基本的に性別に関するデータは、当院にも開示されていません。
  4. 検査には受精卵の一部を採取する必要があり、何らかのダメージを伴う可能性があります。
    細胞採取や凍結、融解で胚自体が壊れてしまうリスクはありますが、当院では細胞採取後の生存率、および凍結融解後の生存率は100%となっています(2020-2025年実績)。
  5. 細胞を採取する段階まで発育しない場合、受精卵のグレードが低い(細胞数が少ない)場合は検査を行えないことがあります。
  6. 採取細胞の状態によっては、検査結果が出ない場合もあります。当院では98.8%の確率で検査結果が出ています(2020-2025年実績)。
  7. 検査結果次第で、移植を行えなくなる可能性があります。移植可能胚を得るために必要な胚盤胞数は、30-34歳で2.6個、35-39歳で3.4個、40-45歳で6.7個となっています(2020-2025年当院データより算出)。