患者さまの声

スタッフブログ

胚培養士の菊地です。

雨ばかりの印象が残ったまま、あっという間に夏が過ぎ去り、
夜はすっかり涼しくなってしまいましたね。
すっかり遅くなってしまいましたが、7月に鳥取で開催された『日本受精着床学会』にて当院から2題発表をしてきました。

私は、当院で取り組んでいる、
IVM(卵子の成熟過程から体の外で約1日培養する方法)の改良法について
発表してきました。
学会で興味のあった発表として、卵子の染色体異常の原因を探る内容でした。
卵子や精子にも“染色体”があり、それらが合わさって受精卵になる際や、
受精して細胞が分裂する際に、この染色体がきちんと分かれ(分離)ていかないと、どちらかの染色体が多かったり少なかったりする“染色体異常”となり、
受精卵の発育停止や流産の主な原因と言われています。
ヒトの卵子は、他の動物種に比べて染色体異常が起きやすいといわれていますが、
それはヒトの卵子が、皮膚などの体細胞のなかで最も大きい(直径0.12mm)
ことも影響しているようです。
まだまだ詳しい機序は明らかになっていませんが、
染色体異常が起きにくくできれば、もっと成功率も高くなるかもしれませんね??!!

その他にも、サプリメントにもよく含まれている
“抗”酸化物質であるL-カルニチンを、
培養液に加えると受精卵の発育や質が良くなったといった内容など、
たくさん情報収集してきました。


鳥取は最高気温37℃と灼熱の猛暑日でクラクラする一方で、
会場内はエアコンがとても効いており、半袖で体中が冷えてしまい、
それだけで体力が消耗してしまった気がします。
学会前日にお休みをいただき、
CMで有名なベタ踏み坂を通って高速で島根県の出雲大社へ行き、
帰りは水木しげるロードを探索してきました。
出雲大社はただの縁結び神社というだけでなく、
IZUMOという精子と卵子の融合に関わる精子頭部にあるタンパク質
(2005年に大阪大の岡部教授らが発見し命名)の名前の由来でもあります。
卵子と精子を結びつけるという機能を、
縁結びのご利益で知られる出雲大社にもじったそうで、
体外受精や顕微授精でお互いを合わせる培養士としてとても感慨深いものがあり、患者さんお一人お一人の願いが叶えられるようにと、改めて気が引き締まる思いでもありました。


参加者が1200人にも及ぶ学会でしたが、主催の鳥取のクリニックの方々の温かい歓迎や、山陰地方の素敵な雰囲気におもてなししていただきました。

さて、今月末には日本IVF学会が、日本で初めて体外受精が成功したここ仙台で開催され、当院スタッフは最後の準備に追われております。
全国の施設の方々におもてなしをするにあたり、仙台に住んで10年以上となる自分でも、まだまだ知らない仙台の魅力にたくさん触れられた気がします。
たくさんの方に仙台の良いところを見て感じていただけたら幸いです。