患者さまの声

患者さまの声

患者さまからのお便りをご紹介します

当院の前身である吉田レディースクリニックの頃から患者さまにお寄せいただいた、貴重な治療体験談です。これから治療を考えている方、また現在がんばって治療されている皆さまにとって、きっと励みになると思います。

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仕事との両立に悩みながら治療、第一子出産後に夫の遺伝性難病が発覚し…

はじめまして。私はクリニックでお世話になり早6年、今回最後の凍結胚移植で2人目妊娠に至った者です。一度の採卵と5回の胚移植を経験し、3回目の時1人目妊娠、そして今回5回目で2人目を妊娠することができたのですが、ここに至るまで何度も何度も涙することがありました。今日は、治療を続ける中で感じたことや辛かったことを皆様と共感し合って、また明日からの活力にしてもらえたら、と思い筆をとりました。

体外受精(胚移植含め)で大変なことは金銭面・体力面・精神面すべてにおいてありますが、私は仕事を続けながら自分の生理周期に合わせて治療を行う、というのが最も大変でした。周りのメンバーへの負担に申し訳なく感じながらも、もう最後なんだから何より自分の体を第一に、と思うようにしたり、心の中で様々な葛藤がありました。また、第一子出産後に発覚した夫の難病(娘に遺伝、更に孫が男の子なら50%の確率で発症)による今後の生活の不安や、そのことにより義母と同居することになり、生活の変化での心・体への負担はとても大きなものでした。子供に病気を遺伝させるかもしれないのに、それでも2人目をつくるのか、と親やまわりから言われることもありました。私だって簡単に決めたわけじゃないのにと、何度も心が折れそうになりましたが、やはり娘の将来を考えた上で今回の治療を行うことにしました。ただし、今後の夫の収入がどうなるかわからないので、この治療が最後、と強く心に決めました。
「この卵がダメだったら娘は一人っ子」というプレッシャーがものすごく重くのしかかりました。わたしがもし早死して夫の介護が残ったら、娘が男の子を産んでその子が発病したら、それで離婚されたら…。誰も支えてくれる人がいなくなった時の娘を想像し、よく夢でうなされました。そんな中での最後の治療、吉田先生の様子から、卵のグレードが良くないことがすぐわかりました。フラグメントも多いと言われ、その後培養士さんの前で大泣きしてしまいました。私のまわりには「子供なんてすぐできて困る」と言って中絶しても子供ができる人も多いのに、中絶してなくても、治療をしても、望んでも、私は妊娠できない…。
もう負の思いでいっぱいでした。
その日家に帰り家族へ報告し、お風呂で大泣きした後、インターネットで久しぶりに受精卵について調べ、やはり難しいと知り、放心のまま眠りました。
 その後どうやって心を落ち着かせたのか覚えていませんが、何日かして突然「”プレママ”を味わえるのは泣いても笑ってもこれが最後」と思い、それなら私のおなかに数日でもいてくれるこの卵ちゃんを精一杯大事にしてあげようと、7月末の暑い時期に腹巻を巻いて過ごし、移植当日の朝に身体の芯が温まるまで湯舟につかってから病院へ行きました。移植の際、看護師さんが「あら、頑張ってたんだね、今回最後なんだね。うまくいくといいね」と言ってくれて、涙がこぼれてしまいました。27才の時、初めてこの病院に来たとき、まだ仕事が楽しくて子供がすぐほしいわけじゃないと、この方にあたってしまったことがありました。本当に申し訳ないと思っています。
 看護師さんの言葉をかみしめていると院長先生が入って来られ、消毒などの処置をされ、卵を確認し、移植。心なしかいつもより長く器具を挿入されていたような気がしました。吉田先生も祈っててくれたのかな、と思いまた涙がこぼれてしまいました。
移植してからはとにかく泣かない、ストレスを溜めない(というか見て見ないフリをする)ようにしました。そして妊娠。

 長くなりましたが、治療をしている方のストレスや辛さは本人にしかわからないと思います。私も1人目ができるまでは「1人いれば2人目の治療なんて辛くないでしょう」と思っていました。でももしかしたら様々な事情があって、どうしても2人目がほしい人だっているかもしれない、私のように。
誰にもわかってもらえないかもしれないけど、同じように悩んで前へ進もうとしている仲間もたくさんいます。どうかストレスを抱えず、まわりにたくさん発散して自分を大事にして下さい。
もう十分すぎるくらい頑張ってるんですから、頑張りすぎないで下さいね。
顔が見えなくても、陰ながら応援しております。

最後に、吉田先生はじめスタッフの皆様、本当に本当にお世話になりました。また、子供を2人も授けて下さって本当にありがとうございます。大事に愛情をかけて育てていきます。またいつかお世話になるかもしれませんが、その時は宜しくお願い致します。