皆さんこんにちは。胚培養士のEです。
5月31日、6月1日に広島で開催された、
第66回日本卵子学会学術集会に参加してきました。
最新の研究についての発表や体外受精に関するシンポジウムがあり、
勉強になりました。
その中で、当院のブログでも何度か話題になっている
タイムラプス培養についてご紹介したいと思います。
今回の学会では、タイムラプス培養システムを構築した、
ミオ・ファティリティ・クリニックの見尾保幸先生
のお話を聞くことができました。
受精卵がどんな風に成長していくか、
今では当たり前のようにタイムラプスを使って見ることができます。
しかし20年程前までは受精卵の細胞がどのように割れていくのか、
フラグメントはどんなふうに発生しているか、
観察することはできませんでした。
見尾先生が構築したタイムラプス用対外培養装置(hR-TLC)は、
倒立顕微鏡に受精卵を培養できる装置を付け、撮影を行っていたそうです。
当時、学会発表でタイムラプス動画を初めて目にした際には、
割球がフラグメントを吸収する動画に衝撃を受けたそうです(培養士R談)。
現在、各施設で使用されているタイムラプス培養器は、
約10年前に普及し始め、今では一般的なものとなっています。
これまでにタイムラプス培養によって、前核の動きや細胞の割れ方等、
様々な発見がありました。
しかし、生殖の分野はまだまだ分かっていないことが多く、
患者さんの治療に役立つような新しい発見が望まれます。
もちろん、当院培養士たちも治療に少しでも役立つように、
研究と検査を積んでいきます!
今はまだ先進医療(保険診療と併用できる自費診療)ですが、
データがたくさん蓄積されて効果がはっきりすれば、
今後保険適用になる可能性もあります。
タイムラプス培養は、
治療の上では受精の見逃しを防いだり、外の環境に出さないことで
胚へのストレスを低減したりとメリットが大きい培養方法です。
現在、当院では約90%の患者さんがこの技術を利用しています。
もし利用を悩んでいらっしゃる方、
詳細説明を希望される方は培養士からご説明させていただきます!
タイムラプスについての過去ブログのリンクも下にありますので、
詳しく知りたい方は是非ご覧になって下さいね。
タイムラプス培養ってご存じですか?前編 タイムラプス培養ってご存じですか?後編
タイムラプス培養で正しい受精判定を