患者さまの声

スタッフブログ


こんにちは、岸田です。
前回に引続き受精障害についてです。
☞前回のお話はこちら受精障害ってなあに?~その1~

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体外受精の治療で採卵した患者さんが、まず初めに決めることが
“受精方法”です。

受精方法には
〇通常体外受精
 (別名:ふりかけ法、コンベンショナルIVF etc)
〇顕微授精
 (別名:ICSI(イクシー))
の二つがあります。

通常体外受精は卵子の周りに元気な精子をふりかける方法で、
顕微授精は卵子の内部に精子を1匹だけ入れる方法です。

どちらの受精方法を行うか
基本的に精液検査の結果をもとに決定しています。
が、そこで問題になってくるのが受精障害です。

通常体外受精では
顕微授精よりも受精障害となる可能性が高いのです。

その理由は
顕微授精は、精子を卵子の中まで導いてあげますが、

通常体外受精では
精子が自力で卵子の中に侵入しなくてなりません。
精子が自力で入れなければ受精は成立しません。(=受精障害)

そのぶん通常体外受精の方が
受精障害の起こる可能性が高くなるというわけです。

胚培養士としても
事前に受精障害の予測が付けられず
受精率が低いと非常に悔いが残ります。

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これまで当院では
スプリット法という方法で受精障害の対策を行っていました。

この方法は
通常体外受精顕微授精どちらも行う”という方法です。

例えば、採卵で得られた卵子が10個だった場合、
5個は通常体外受精
残りの5個は顕微授精
で受精させてあげます。

精子が卵子の中に入れないことが原因の受精障害であった場合、

結果として
通常体外受精を行った5個は受精できないことになりますが
顕微授精の方で受精が成立する可能性は十分にあります。


この方法は、受精障害の対応策として非常に有効的であり、
当院での採卵が初めての患者さんには、
スプリット法を行っていました。



ですが、スプリット法には次のような課題があります。

①受精障害ではない患者さんにも顕微授精をすることになる。
日本産婦人科学会には、顕微授精は”顕微授精を行わないと妊娠の可能性が極めて低い場合に実施することが望ましい”という規定があります。
↑ここでいう顕微授精の適応は、精子の数が少ない患者さんや、既に受精障害の可能性が高いと判断する患者さんを指します。


②顕微授精をすることで、費用が高くなってしまう。

③患者さんが受精障害だった場合、
通常体外受精に振り分けた卵子からは受精卵が得られない。

上の例でいうと、通常体外受精に振り分けた5個は未受精となり培養が終了になります。折角たくさんの卵子が得られたのに、受精卵は数個のみという結果になります。




そこで、当院で新たに導入するのが
レスキュ―顕微授精という方法です。


それでは、次回レスキュ―顕微授精について
詳しくお話致します。