ブログカテゴリー: ラボより

こんにちは、医療技術部です。

ブログのネタは、正直PGT-A関連しか浮かんでいなかったのに、
安易に文章担当してしまった私です。
(おかげさまでup担当は助かっています)

9月に入ってから(自分で設定している)締め切りをプレッシャーに感じつつ、
急な仕事に追われ…この前先輩が書いてくれていたし、
私は書かなくていっかな…などと現実逃避していました。
大人なのでちゃんと現実見ます。


ということで本題です。
ネタが無いのはなぜか?という根本原因を私は考えたのです。

“学会が…開催されて無いからだ…!!!”

「学術集会」略して「学会」です。
コロナ禍で集会は開けないということで、今年はまだ学会が開催されていません。
(学会でクラスター発生したら日本の生殖医療はストップするでしょう)

主要な学会は軒並み開催延期されて10-11月に集中していたのですが、
それすらも中止になりました。でも学会は開催したい!人が集まらなければいい!
ということで今年の主要学会はほぼWeb上での開催となりました。

どういうこと?

本来学術集会は、発表会みたいな感じで
新しい知見などをプレゼンテーションするのですが、
参考画像 ↓

発表会がWebで見られるよーという開催形式になったのです。
開催地に集まらなくても色々な情報を収集できます。便利!

もう一つ、主要な学会は複数の会場にて同時並行で発表が進行するので、
自分が見たい発表を見れないこともあります。(とても残念)
自分の発表中はもちろん他会場の発表を見るなんて無理。
私は緊張しがちなので、自分の2-3個前の発表からは
興味があっても頭に入ってきません。

そういうことなく、見たい内容を時間に縛られず自由に見れます。すごく便利!
仕事の空き時間に学会参加もできるし、(お金さえ払えば)誰でも見れるし、
(皆さんも特別な条件が無い学会であれば参加申し込みをすれば見られます)
同僚への情報共有も早い。Web開催なら海外の学会も見れます!
新しい学会様式!ありかも!

まぁ大変なこともありまして、冒頭にも書きましたが、

私、学会準備に追われています。

初めから決まっていたことじゃないので…。
今年は、変更に対応していかなければならなかったのです。
盆明け、突然にWeb開催が決定。
私は10月の学会を目指してプレゼンテーションの準備をしていました。
(この時点ではほとんど準備していません)
そんな状況で、音声付きデータの提出期間は翌々日からで、
締め切りは3週間後だと…?
確かに、元々の開催日は5月だったけども!!準備万端で当然かもしれないけども!?


この時期にブログ書いているの?!発表原稿じゃなくて?!
という声が聞こえてきましたので、ちゃんと学会の準備をしてきます。
開催は10月なので、11月以降に興味深い内容があれば皆様にご報告いたします。

ではまた次回。👋
皆さん、こんにちは。医療技術部です。

不妊治療が始まった当初から最近まで、多くの研究者たちが
治療の際に注目してきたのは卵子でした。
しかし最近では、精子側の研究が盛んに行われています。
そこで今回の話題は、先日当院で開始した新しい検査である
「精子の酸化ストレス検査」についてです。


皆さんご存じのとおり、不妊治療をしている男性が誰しも行う検査が
「 精液検査 」ですよね。
多くの施設で実施されており、検査項目は大体、以下の4点。
① 精液の量 ② 精子の数 ③ 精子の運動率 ④ 精子の正常形態率
今まで、この中で最も重要視されてきたのが、精子の「数」「運動率」です。

実はこの考え方・・・・もう 古 い んです。

今や、目で見えるだけの情報だけでは不十分。
「精子の質」に着目した検査が重要視されてきています。
治療をしていると、「卵子の質」という言葉はよく耳にするのではないでしょうか?
精子だって同じなんです!
この「質」を見る検査のひとつが 「酸化ストレス検査」 なのです(o^―^o)


そこで、「酸化ストレス」ってなんぞや?という話。

という感じでしょうか?
それで充分です。 体に良くないんです。
※ 詳細なことを知りたい方はこちらへどうぞ。

活性酸素と酸化ストレス


当院でも女性は、採血による酸化ストレス検査をすでに行っています。
一方、男性側は採血ではなく、精液を用いて検査を行い、精子そのものの酸化ストレス値を見ていきます。

酸化ストレスが高くなる原因は・・・
日常生活に大きく密着している事柄が並んでいますよね。
(書いてる私も目を背けたくなります)


酸化ストレスが高くなると・・・

た い へ ん っっ !!!!!!!!!!

体に良くないことは、精子にも良くないんですね。
これは、今までの検査では絶対に分からなかった、精子の「質」の部分です。



この検査で大事なことは もう一つあります。
それは、 精子数や運動率に問題が無くても、酸化ストレスの値が高いことがある!という点です。

人工授精をしているけど、なかなか結果が出ない。
体外受精をしているけど、なかなか受精卵の発育が進まない。

そんな方には 是非受けてみてほしい検査なのです。



もし、酸化ストレス値が基準値よりも高く出たときには、泌尿器外来の受診をおススメします。
サプリメントや生活習慣改善で値が良くなる場合もありますが、中には診察でしか分からないこともありますから。

今回は、いつもの医療技術部執筆者とは別人物がお届けいたしました。

テーマ:

染色体とPGT-A

こんにちは。医療技術部です。
今まで染色体や遺伝子等のつまらない基礎の内容ばかりでしたが、
今回はPGT-Aの話です。

つまらない基礎の話



PGT-Aとは

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査ってなに?)

PGT-Aは、新しい技術!不成功に光!!みたいな表現をしているものもあります。
PGT-Aをすれば妊娠できる!と勘違いしてしまいそうです。
(↑すこし攻めた表現をしてみました)

染色体を「ヒトの作り方」という本に例えて
PGT-Aとはどんな検査か?ということを再度話していきたいと思います。
(↑過去記事でも「本」に例えているので読むと少しイメージしやすくなるかもしれません)

「ヒトの作り方」は全ての細胞に(ヒトならば基本的に)1~22巻×2冊(常染色体)+付録2冊(性染色体)で合計46冊入っています。
しかしながら受精卵の細胞では、「ヒトの作り方」の3巻が1冊しかなかったり、1巻が3冊以上あったり、付録が3冊ついていたり…
22巻×2冊+付録2冊(46冊)に当てはまらないことがあります。染色体数の異常です。
染色体数の異常は生命維持の観点からみれば非常に厳しい状況ですので、
着床不全流産の要因となってしまいます。

新しい技術、PGT-Aは「ヒトの作り方」の本の冊数を数える検査です。
受精卵から複数個の細胞を採取して、細胞内の「ヒトの作り方」の数を数えます。
そうすると、1巻が3冊ある!とか5巻が1冊しかない!そんなことが分かります。
あとは10巻の一部が落丁している!とか一部が重複している!ということもわかります。
検査では複数個の細胞を採取するので、この細胞では46冊ピッタリなのに、あの細胞では1冊不足した45冊しかない!ということもあり得ます。

ここでポイントは、本(染色体)しか見ていないということ。しかも数だけ。
要するにPGT-Aは本の数や厚みを数える検査です。
PGT-Aは染色体を数えているだけの検査なので万能ではありません。
妊娠により近い受精卵を選ぶことが出来る検査と理解するとわかりやすいかもしれません。

もう一つ勘違いしやすいポイントがありまして、染色体の検査ゆえに「先天異常がない赤ちゃんを産むための検査」と思われがちです。
しかし染色体や遺伝子以外にも先天異常の要因は沢山あります。
風疹は有名ですよね。 コロナで話題になったアビガンも服用によって胎児奇形を誘発する危険があるようです。
よってPGT-Aによって先天異常の有無を見分けることは難しいです。

PGT-Aを否定しているわけではありませんが(私はPGT-A推奨派です)、
様々な理由からPGT-Aによって妊娠・出産に近づく人は限られてくる技術です。

現在、PGT-Aの臨床研究が進行中です。
上記の理由から対象者には制限が設けられています。
PGT-A臨床研究の対象になっていただける方は、必ずご夫婦で遺伝カウンセリングを受け、 染色体やPGT-Aについてリスクも含めて深く理解した上で、
本当にPGT-Aを施行するのか決定していただきます。
加えて、希望者にはブログ記事よりも分かりやすい、PGT-Aの説明動画をご覧いただきます。

PGT-Aって良くわからない、自分に必要かどうか検討したい等、
お悩みの際は一度当院へ足を運んでみて下さい。

テーマ:

遺伝子と染色体と…


こんにちは。医療技術部です。暑いですね。私は暑さにめっぽう弱いですが、
もう一つ、暑さに弱いと言えば…




精子ですね。
当院に通院中の旦那様方、不安に思う節があるならば、
過去に岸田♂の書いたブログを参考にして、下半身の熱をうまく逃がしてください。

精子力を改善しよう

岸田♂が触れていたNスぺ(NHK)の記事があったのでリンク貼っておきます。

ニッポン精子力クライシス

↓先月に遡りますが、最後の最後に遺伝子と染色体は違うと書きました。↓

染色体ってなんだ?②


遺伝子とは何か?遺伝との違いは何か?
というところをお伝えできればと思っています。
今回も少しややこしいので
「ヒトの作り方」=染色体
「ヒトの作り方」の中身=ヒトの設計図として説明します。

とりあえずQ&A
Q.遺伝って何?

先祖から情報を受け継ぐこと、また子孫に情報を受け継がせること。


Q.遺伝子って何?

受け継がれる情報。



いつものごとく唐突です。
両親から受け継ぐことが遺伝と前回書きました。
この遺伝するものの正体は情報です。

伝言ゲームを例にとってみます。
“リンゴ”をかいた紙を次の人に渡していくゲームとします。
ゲームとして最後の順番の人は紙に書いてあるものを答えます。

“リンゴ”と答えるでしょう。

紙も、もちろんたくさんの人にわたりますが、
大事なことは紙に書いてある情報“リンゴ”です。

遺伝も一緒です。
リンゴが書いてある「ヒトの作り方」(染色体)
リンゴがヒトの設計図を表し、この伝言ゲームが遺伝です。
遺伝子受け継がれる情報ヒトの設計図ですので、
遺伝子染色体です。
染色体は遺伝はしますが、遺伝子ではありません。



今度はヒトの遺伝子と遺伝や個性について具体的にみてみます。
(これはフィクションです。実在の人物との関連はありません。)
Kさんの筋肉の設計図は、無酸素運動推奨と書いてあります。



Yさんの筋肉の設計図は、有酸素運動推奨と書いてあります。



筋肉の遺伝子に、違う情報が書かれています。
これがヒトの個性です。
潜在的にKさんは短距離走(無酸素運動)が得意な個性を持ったヒトで
Yさんは長距離走(有酸素運動)が得意な個性を持ったヒトと考えられます。
設計図はヒトそれぞれで個性が表現されます。

次にYさんの家系図を見てみます。
Y母とY息子が長距離走を得意としていました。
このように、筋肉の設計図つまり遺伝子が代々遺伝している様子を表しています。

もうおなかいっぱいって方は、ここからは読まなくても大丈夫です。






せっかくなので、遺伝子や染色体に付随してよく聞く単語の意味をお伝えしようかなと思います。
DNAゲノムってやつ。

広義としてDNA=ゲノム=遺伝子でいいかと思いますが…
専門家に上記を伝えたらNoooooooooo!!!Crazy!!!!!!等と発狂するかもしれません。
ちょっとした違いを説明します。

Q. DNAってなに?
A. 遺伝子(やゲノム)を作っている物質です。
例えるなら「ヒトの作り方」の本に使われている紙です。

Q. ゲノムってなに?
A. 遺伝情報の全てです。

実は、「ヒトの作り方」の中には、不要な部分が沢山あります。
必要部分のみ取り出すと情報として意味をもち設計図になります。
意味不明の文字列から必要な文字だけ抜き取る謎解きみたいな感じです。

↓古典的な謎解き(どこからどう見てもタヌキ)
“た”が不要な部分、その他が必要な部分です。
※gif作ってみましたが秒数の関係上歯切れの悪いものができてしまいました…
なんとか読み取ってください(by編集)

「ヒトの作り方」は“た”入りで文章化されているので、いちいち“た”を抜く作業をしています。

不要な部分は無駄じゃないのか?そんな声が聞こえてきます。
“設計図を作り出す”というひと手間を加えることで、生物は多様に進化してきました。
生物を構成するには、不要な部分も必要なのです。…禅問答?

まとめますと、紙(DNA)に“た”入り暗号(ゲノム)が記載されていて、
暗号をまとめたものが「ヒトの作り方」という本(染色体)となっています。
暗号を解読すると設計図(遺伝子)が見えるようになるということです。

日本語にすると全て“染色体の中身”という説明になってしまうので、DNA=ゲノム=遺伝子と理解されています。
日本語って難しいですね。

ここらへんで、今月は終わりです。また次回。

こんにちは医療技術部です。
さて、染色体の第二弾(になると思わなかった辛い)始めます。

↓復習(第一弾)はこちらから↓

染色体ってなんだ?①


染色体は本数で表すと前回書いたので、染色体の本数の話を詳しく書きます。

数字が振ってありますが、数字が本数ではありません。……騙されました?
染色体はXみたいな形になっていますが、左の>と右の<で1本ずつあります。
Xで2本です。
ということで、ヒト染色体は22×2本=44本と赤丸内の2本あわせて46本です。
(ちなみにチンパンジーは48本です)

なんでややこしい数字振ってあるの?! 1~46って数字振ってよ!

同感です。


染色体は本に例えられるので、染色体を「ヒトの作り方」というに例えて、解説したいと思います。

「ヒトの作り方」は1巻から22巻まであります。源氏物語に匹敵する長編小説です。
さらに、1巻から22巻まで2冊ずつあり、「女性の作り方」、「男性の作り方」という付録が必ずついています。(赤丸のところ)
皆様の想像通り、付録は性別を表します。
「女性の作り方」を2冊持っていれば(XX)、遺伝学的に女性「女性の作り方」と「男性の作り方」の2冊持っていれば(XY)、遺伝学的に男性です。

Point

染色体は
1-22巻と付録1冊を1セットとして、2セット持っている
という計算です。


ネット等で染色体を調べると“2n=46“そんな表記を目にすると思います。
これは上記を表していて、「2セットで合計46本の染色体を持っている生物だよー!」ってことを端的に表現したものです。
いや!だから‼なんで2セットなのよ!ややこしいでしょ‼

そうでした。すいません。

なぜ2セットなのか?というのは実は単純明快です。
父親から1セット母親から1セットの「ヒトの作り方」をもらって、自分の命が誕生しているからです。
ただし、父親と母親からもらっているので、同じ巻数でも内容は少し違います。
だから1巻から46巻までではなく、1巻から22巻まで2冊ずつ+付録2冊で2セットっていう数え方をしています。

染色体、染色体と何度も書いていますが、からだのどこにあるかご存知ですか?
ヒトの設計図っていう位だから…かな?
Noです。

染色体はヒトを構成するすべての細胞内に存在します。
ヒトの体は数えきれないくらいの細胞の集合体ですが、全ての細胞に、46本全ての染色体が入っています。
心臓の細胞では心臓の設計図が活用されて、筋肉の細胞では筋肉の設計図が活用され…
それぞれの細胞で違う設計図が活用されて、1つの生命体が活動します。

(「ヒトの作り方」1セット分を1冊として表示しています。)

  基本的に全ての細胞が2セットずつ「ヒトの作り方」を持っていましたが、
子孫を残すためには、「ヒトの作り方」を1セット分に分けて、他の1セットと融合する必要があります。
我々ヒトが他者と融合する為に、「ヒトの作り方」を特別に1セットずつの細胞に分けたものが精子と卵子です。
精子同士、卵子同士でも融合すれば生命になれるんじゃないの?!って思った
マッドサイエンティスト思考の人は培養士が書いている過去ブログ読んでみてください。
↓ちらっと触れてありました。↓

環太平洋生殖医学会に
参加しました



ヒトは一人では子孫は残せませんし、残念ながら同性同士でも子孫は残せません。
我々は、遺伝学的に親となる男女から染色体を受け継いで、新しい生命として誕生しました。
両親から 受け継ぐ ということがいわゆる遺伝です。

はい。ここまでの話を読んで
「なるほど。染色体って遺伝子ってやつだな。」と思いましたか?

不正解です。
最初に書いた通り、染色体とはヒトの設計図をまとめたものです。
「ヒトの作り方」という本です。遺伝はしますが遺伝子とは分けて理解したいところです。


来月は染色体と遺伝子の話を書こうと思います。

テーマ:

染色体ってなんだ?

こんにちは。医療技術部です。
今までいろんな人がいろいろ書いていましたが、ブログ担当者が決まりました。
日本語が不自由なのに(日本人です)HTMLが苦手なので、UPを後輩に押し付けて文章担当になりました。
パワハラではない(と願うばかり)です。


さて、本題です。唐突に染色体の話をしようかなと思います。
ところで染色体って、ご存知ですか?
遺伝がどうのこうのとか、XYとか男女とか、命の選別とかそんなイメージじゃないかなと思います。
「染色体?よくわかりません」とは言えない時代になってきました。
PGT-A時代の幕開けです。
PGT-Aの記事も過去にあります。(クリックでリンクに飛びます)

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)ってなに?    PGT-Aお問い合わせフォーム

そもそも染色体のことよくわからないかも…と担当者も不安になったので、今回記事にしてみました。

…とりあえず、Wikipediaを見てみました。

染色体(wikipedia)

… … … … … …ん?

ということで、染色体ってどんなものなのか、簡単にお伝えできればいいなと思っております。
ちなみに担当者の独学なので(正しくは、○年前の高校時代に勉強した内容ですが)、 違う‼というご指摘あれば教えてください。
とりあえず、結論を出します。

染色体って何?

ヒトを作るための設計図をまとめたものです。

… … … … … …ん?

もっとわかりやすい答えを書け!などと批判が聞こえますが、無視します。
(だってこれ以上わかりやすい答えなんて、私の脳内に浮かばないから)
しかしながら、結論を急ぎすぎた感じは否めません。
拙いながら説明していきます。


まず、すべての生物は設計図をもっています。
染色体の中の設計図の情報を基に、生物が形作られています。
荒川弘先生の某錬金術の漫画では、ヒトを構成する成分が書かれてありましたが、(水分が60%とかはCM等でよく聞きますよね)ヒトも物質の集合体です。
物質を上手く組み合わせ、上手く働かせることで、細胞ができて、細胞が集まって、ヒトという生命体が生まれます。不思議ですね。
物質がそこに存在するだけじゃ、生命活動はできません。
上手く物質を働かせるために、設計図が必要です。等価交換だけではヒトは作れないのです。

ということで、我々生物は設計図とおりに構成されて生きています。
生きるために必要な膨大な設計図の束が、染色体ってことです。
最初の結論に納得いただけましたか?

Google先生に聞いたら、ヒト染色体の画像ありました。

棒みたいなものが染色体なので、単純に本数で表記されます(基本的にヒトは46本)。種族によって染色体の本数は違います。もちろん、生物ごとに設計図が全然違うので、本数が種族を決定しているわけではありませんが、本数は大きな要素になりえます。
ヒトとチンパンジーは遺伝子が99%一緒とか聞きますよね。しかし、染色体の本数は違います、似ているけど別の生物です。(理事長がチンパンジーに似ているとかそういう話ではありません)

また、染色体の本数が一緒の別生物もいます(設計図が全然違うってことです)。
例えばヒラメもヒトと同じ46本の染色体をもっていますが、明らかに別種ですね。

わぁ…こんなマニアックな話…読む人…いるの…??
読んでくれた皆さん本当にありがとうございます。
でもまだ話したい事は、半分しか書けていません。衝撃。
近日中に続きをUPします。

皆様こんにちは。ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか?新型コロナウイルス終息までには、まだ時間がかかりそうですね…。
今回は、不妊治療にも関わる感染症と予防策についてお話してみたいと思います。

感染症は、病原体(細菌・ウイルス・真菌・寄生虫など)が体に侵入して症状が出る病気ですが、ウイルス性胃腸炎や呼吸器感染症、性感染症(STD)など、様々なものがあります。
性感染症は、性的接触により羅漢する感染症の総称で、B型、C型肝炎、後天性免疫不全症候群、梅毒、クラミジア感染症などがあり、当院ではこれらの感染症検査を行っています。
感染症は、症状が現れる場合と現れない場合があり感染症となるかどうかは病原体の感染力と体の抵抗力のバランスで決まります。

感染経路には大きく分けて、垂直感染水平感染の2種類あります。
垂直感染は、妊娠中、あるいは出産の際に病原体が赤ちゃんに感染する事をいい、一般的に“母子感染”と言われています。(風疹・トキソプラズマ・B型肝炎など)
水平感染は、感染源(人や物)から周囲に広がるもので、大きく分けて接触感染飛沫感染空気感染媒介物感染の4つに分類することができます。

接触感染

感染者(源)に直接接触して感染する。
(伝染性膿痂疹(とびひ)・梅毒・淋病など)


飛沫感染

咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染する。
(新型コロナウイルス感染症・インフルエンザ・かぜ・百日咳など)


空気感染

空気中を漂う微細な粒子(飛沫核)を吸い込むことにより感染する。
(結核・麻疹(はしか)・水痘(みずぼうそう))


媒介物感染

汚染された水、食品、血液、昆虫などを介して感染する。
(コレラ(水)・食中毒(食品)・ウイルス肝炎(血液)・マラリア(蚊)など)


感染症を防ぐには、「病原体が体内に侵入する感染経路を断ち切る」こと、「体内に侵入しても病気を起こすまでに増殖させない」ことが主な対策です。
感染症について正しい知識を持ち、衛生物資の使用方法や効果を知り、日頃から手洗い、マスク、消毒など予防策を実践することが重要です。

そこで、今回は手洗いの効果と、ご家庭でもできる簡単な消毒液の作り方をご紹介したいと思います。
新型コロナウイルスにはアルコールが効くといわれていますが、実は食器手すりドアノブなどの身近なの消毒には、アルコールよりも、熱水や塩素系漂白剤が有効だといわれています。
感染が再び拡大しないよう、長丁場に備えて日常に「新しい生活様式」を取り入れながら、みんなで一緒に力を合わせてこの時を乗り切りましょう!

※次亜塩素酸ナトリウムは人体には使用できません。 出典:厚生労働省HPより

臨床検査技師 佐久間


こんにちは、臨床検査技師の國府田です。

早いものでもう4月!新年度が始まりましたね。
新年度になると住民健診の申し込みが始まりますが、みなさんは住民健診を受けていらっしゃいますか?

今回は住民健診の「子宮頚がん検診」についてお話させていただきます。
子宮がんは、子宮頸部にできる「子宮頸がん」と子宮体部にできる「子宮体がん」に分類されます。

子宮頸がんは、30~40歳代で多く診断されていますが、近年20歳代でも増加傾向にあります。
子宮頸がんが発生する原因は、主として性交によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)です。
通常はHPVに感染しても免疫機能により排除されますが、ごく一部で感染が持続し、長い期間をかけて、前がん病変(異形成)を経て子宮頸がんになります。

わが国では、20歳以上は2年に1回「子宮頸がん検診」を受診することが推奨されています。
子宮頸がんは、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、初期症状がほとんどありません
それだけに、定期的に検診を受けることが重要になります。
まずは、住民健診の申し込みをしましょう!!
ただし、子宮頸がんの治療・経過観察中の方、職場健診・人間ドックなどで受診される方の申し込みは不要です。

仙台市民健診ページへ

仙台市の子宮頸がん検診は当院でも受けていただけます!
受診券がご自宅に届きましたら予約をしてご来院ください。お待ちしております☺

臨床検査技師 国府田

こんにちは。培養士の吉津です。

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新型コロナウイルスの感染拡大により、不安な日々をお過ごしかと思います。
現在のところ、診療は通常通り行い、ヨガ・リラティスは3月いっぱい休講となります。
当院における診療体制について変更がある際は、当ホームページのトップページにてお知らせいたします。
何か不安なことがあればおっしゃってくださいね。

*・・・・・・・・・・・・・・・*・・・・・・・・・・・・・・・*・・・・・・・・・・・・・・・*

さて、2020年を迎えて早々に、学会に参加して参りました。
今回私が参加したのは第25回エンブリオロジスト学会です。
エンブリオロジストとは不妊治療ラボの専門技術者であり、培養士のことです。
私たち培養士が参加する学会は様々ありますが、「培養士による培養士のための学会」というのは他にありません。
とても楽しみにしておりました!
そして私にとっては初めての学会発表でした!

1日目はワークショップが行われ、
実技コースとセミナーコースがあり、実技コースに参加しました。
実技コースでは、動物の卵で顕微授精や、胚の凍結・融解を行いました。
多くの培養士がスキルアップのために、実際に手を動かし、技術を学んでいました。
(普段は教わることのできない熟練の培養士の方々が先生です!もちろん当院の培養室主任も!)
このような機会は滅多に無いのでとても充実した時間でした🌸

2日目は学術大会です。
今回の大会では、事前に演題賞が発表され、選ばれた演題は口頭発表となる予定でした。

なんと私の演題が優秀演題に選ばれました!!!
ポスター発表のつもりでポスターを作っていたのでびっくり😱
口頭発表が決まった日からずっと、頭はそのことでいっぱい。。。
さらに当日、会場のホールをみて冷や汗。。。

しかし、いざその時になると冷静に落ち着いて発表することができました。
緊張が身体に出にくいのは私の長所(?)です

発表内容は、「媒精方法の違いが異常分割胚の発育に影響するか」です。
当院で治療中の患者さんはきいたことがあるかと思いますが、SC(ACとも呼ばれます)についてです。
通常の体外受精(c-IVF)と、顕微授精(ICSI)で異常分割を起こした胚の発育に違いがあるのか?を調べました。
異常分割を起こした胚では、顕微授精と比べ、通常体外受精で胚盤胞発生率が有意に高いことがわかりました。
これは異常分割胚に限った結果ですので、媒精方法を気にしすぎる必要はありません。
今回の結果を踏まえて、さらに検討を進めたいと考えています。



発表は午前中の最後のプログラム!
発表終わったぞーーー!!!とお弁当の配布列へ🏃
緊張しつつも朝食をしっかり食べた私でしたが、緊張が解けて、昼食は特に美味しく食べることができました。
休憩時間にはご当地のお菓子も美味しく頂きました。
ずっとお腹がいっぱいだったような…?😋


学術大会では、ステージ上で操作のデモンストレーションもありました。
PGT-Aの細胞採取やPIEZO-ICSI等、特に技術が必要な操作のコツ等について、実際に操作をみながら学ぶことができ、これも培養士のための学会ならではの講演でした。

表彰式では、優秀演題賞の賞状やトロフィー等を頂きました。
そして先日、トロフィーに名前が刻印されて戻ってきました!
賞に恥じぬよう、日々精進して参りたいと思います。

培養士 吉津

培養士の菊地です。

1月に、多くの培養士が所属する「日本臨床エンブリオロジスト学会」において、Biopsy(バイオプシー:受精卵の細胞を一部採取する技術)」の講師として実技指導をさせていただきました。
Biopsyは比較的最近の技術で、培養士の操作(顕微授精や凍結保存など)の中では言うまでもなく難易度の高い技術となります。

透明帯(受精卵の殻)から出てきた、将来胎盤になる細胞を

吸い込んで採取します(最小限のダメージで抑えるのが培養士の腕の見せ所)


突然ですがPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)」はご存知でしょうか?
この検査は、世界では広く行われていますが、日本では検査の有効性を検証する研究が始まったばかりで、当院も臨床研究を担当する施設(全国の体外受精実施施設の約1割ほどです)として承認を得ることができました。
実際には、受精卵の細胞を一部採取し検査することで、受精卵の染色体の数が多かったり少なかったり(染色体の異常)していないかを調べる検査です。
→受精卵の細胞を直接調べる検査がPGT-A

女性の年齢が上がるにつれて、染色体数異常をもつ受精卵の頻度も上がります(残念ながら、受精卵の見た目では正常か異常かの判別がつきません)。受精卵の発育が停止したり、移植をしても着床できなかったり、妊娠しても流産となったりする原因の多くに、染色体数異常が占めていると考えられています。
→他の要因による受精卵の発育不全、流産もあります

同じく染色体を調べる羊水検査は「出生前」検査となり、妊娠されてからの検査となるため、万が一異常があった場合には処置が必要となり、精神的・身体的な負荷は言うまでもありません。
一方で、PGT-Aは「着床前(妊娠に至る前)」にどの受精卵を移植したら良いのか選択しやすくなることから、何回も移植や流産を繰り返すことなく、早く妊娠・出産に至る方法として着目されています。
ただし!!
受精卵の一部を採取する「Biopsy」の操作は、どんなに凄腕の培養士であっても、
受精卵に多少なりともダメージが生じる方法であることをお忘れなく!
よって、今回の「臨床研究」では、ダメージを受けた受精卵でも、
妊娠率や流産率に影響はないのか?を調査する目的で行われています。
→PGT-Aは調査段階の技術

研究に参加できる患者様の対象も、受精卵移植を行い2回連続して妊娠されなかった場合や、2回連続して流産を繰り返された場合などと、制限があります。
詳しくは →着床前胚染色体異数性検査(PGT-A) をご覧いただき、
ご希望の方は申込みフォームよりご連絡をお願いいたします。